腎臓内科・腎臓リハリビテーション
腎臓内科として年間(令和4年2月~令和5年1月末)3000人以上の患者さんを診察しています。
患者さんには「透析になりたくない。なんとかしてくれ。」とよく言われます。近年、腎臓病研究の進歩はめざましく、腎臓の悪化リスクを下げる薬も数多く出てきています。透析にならないように、あらゆる手を尽くして皆さんと一緒に「腎臓」を守っていきます。 治療は腎臓内科専門医の知識を基に、ガイドラインに沿って行います。
慢性腎臓病(CKD)とは
腎臓が悪い状態をまとめて慢性腎臓病(CKD)と呼んでいます。
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診断に必要な検査
「なぜ尿検査で引っかかってしまうのか?」「なぜ腎臓が悪いと言われるのか?」
「このまま透析になってしまうのか?」「治療が必要なのか?」「放置しても問題ないのか?」
など、不安や、疑問を解消するために検査で診断します。
そのためには、主に以下の検査が必要なことがあります。
尿検査
たんぱく尿や、血尿を細かく調べます。
治療や検査を急いで行うべきかの判断がある程度できます。
尿の細胞診検査では、癌による異常がないか調べることができます。
採血検査
腎臓の機能をみる指標であるクレアチニン(Cre)などを調べます。
クレアチニンは筋肉量の影響を受けやすいので、腎臓の機能を反映できていない場合があります。血清シスタチンCの推算式(eGFRcys)を用いる場合もあります。
超音波検査
腎臓の形を見ることで、どのくらい前からどの程度悪いのかがある程度推測できます。
例えば糖尿病で起こる腎臓病は、初期であれば大きく腫れて見えます。また、結石などによって水腎症を起こしている場合は腎臓の中心に尿がたまっているのが見えます。
腎生検
実際に腎臓の組織を生検する検査です。腎炎などが疑われ、悪化のリスクが高い場合に行うことが多いです。入院での検査が必要なため大きな基幹病院で行います。病状や施設によって異なりますが、入院期間はおおよそ1週間程度です。
腎臓リハビリテーション
腎臓リハビリテーションとは、慢性腎臓病(CKD)の方がもっと、いきいき生活できるように、長生きできるように、さまざまな手段を用いて行う治療のことです。
当院でも積極的に取り入れており、代表的なものを紹介します。
薬物療法
投薬が必要と判断した方には、ガイドラインに従いエビデンス(医学的根拠)のあるものを処方します。自費の薬、サプリメントの処方や民間療法は行いません。
「腎臓に良い効果がある」ことが分かっている薬
- RAS系阻害薬
- SGLT2阻害薬
- 非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬
など
食事療法
必要に応じて「栄養指導」を行います。
好きなものが食べられない、飲めないストレスは痛い程よくわかります。当院では、腎リハビリテーションの一環として「厳しすぎない栄養指導」を心掛けています。
厳しすぎないことで皆さんに継続していただき、結果として健康が維持できると考えているからです。
運動療法
適切な運動は腎機能の低下の抑制や透析になるのを遅らせる効果が報告されています。
保存期慢性腎臓病患者さんでは運動を行うことで、腎機能が改善するだけでなく、死亡率が低下するという報告があります。
出典
日本腎臓学会CKD診療ガイド2009
日本腎臓リハビリテーション学会 腎リハビリテーションガイドライン
Takaya Y et al. Circ J 2014;78:377-384.
日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会 編. 高血圧治療ガイドライン2014